Probe You

この記事の題名および記事の一部は私の大好きな戦略記事の一つをオマージュして執筆させていただいたものです。ご存知の方は、ニヤリとして楽しんでいただけたら幸いです。

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ギタクシア派の調査はマジックを象徴するカードの1枚となった。ギタクシア派の調査、通称ギタ調は、2017年1月20日の禁止改訂にてモダンで禁止、つい先日2017年4月24日の禁止改訂でヴィンテージでも制限となった。ギタクシア派の調査は、思案やブレスト、血清の幻視その他多くのいわゆる「1マナキャントリップ」とは一線を画すものだ。レガシーでのその存在感はこれまで以上に大きく感じられ、今後数年の間トーナメントで必ず目にすることになるのは間違いない。ギタクシア派の調査の使い方を理解することはレガシーのコンボプレイヤーが成功するのに不可欠だろう。そこで今回はシンプルな効果のこの呪文が、強力なカードが使える2つのフォーマットで使用を咎められた理由について考察してみようと思う。

Gitaxian Probe / ギタクシア派の調査 (青/φ)

ソーサリー

((青/φ) は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)

プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーの手札を見る。

カードを1枚引く。

今日の記事では、ギタクシア派の調査について知るべき(私の知りうる限り)事柄をカバーすることを試みる。

ギタクシア派の調査のリスク

ギタ調はゲームにおいて何をするのか、それを理解するのが最初のステップだ。ギタ調はレガシーやヴィンテージにおいてさえ素晴らしい仕事をする超高効率カードのように見えるが、このカードには重大なリスクもつきまとう。素晴らしい恩恵にメロメロになる前に、まずはそのリスクについて考えてみよう。

△ライフを減らす

カードアドバンテージの観点から見れば、ギタ調がすることは1対1交換――直接はアドバンテージを得られない。その上このカードをなにかのカードに変換するためには2点のライフか青1マナを支払う必要がある。1t目にペイライフでキャストして、返しにゴブリンの先達をキャストされたら気分は最悪だ。

△マリガン判断を難しくする

SCZを使っているあなたの、次のような初手を想像してほしい。(嗚呼、もうモダンでは見られなくなってしまったが)

《ギタクシア派の調査》

《ギタクシア派の調査》

《通りの悪霊》

《強大化》

《思考囲い》

《血染めのぬかるみ》

《ティムールの激闘》

死の影が引ければ、3tキルも目指せるハンドだ。――死の影が引ければ。3枚のキャントリップの結果によって、強さが大きく変わってしまう。裏側のカード3枚と、表側のカード4枚でマリガン判断を迫られているようなものだ。

定業や思案は1:1交換ではあるが、その時々にほしいカードに変換してくれる。土地がほしければ土地に、展開がほしければ生物に。複数の選択肢の中で選択できるため、キープをかなり簡単にしてくれる。だがこのカードはどうか?いわば未知のカードであるこのカードは、逆にマリガン判断を難しくする。

さらに厳密には、裏のカードを表返すには2点のライフか青一マナを支払う必要がある。対戦相手が何かわからないメインでは、この点も小さくないリスクだ。

ギタクシア派の調査の恩恵

あなたのデッキにギタ調を搭載することの危険性をここまで述べてきた。これだけの弱点にもかかわらずギタ調がデッキビルダーにとって最高のツールであるのはなぜなのか。
ギタ調は、思案にもブレストにも、思考囲いにもない唯一無二の特質を持っている。

『カードを損せず、テンポを損せずに○○する。』

結論から言えば、カードを損せず、テンポを損せずにさまざまな副次的アドバンテージに変換することこそがこのカードの本質である。これから、その変換先についてみていこう。

『ギタ調は、カードを損せず、テンポを損せずに・・・・

◎墓地を増やす。』

墓地は、マジックにおいて重要なリソースの一つである。リアニメイトに代表される様々な墓地活用戦術は古くから強力なデッキを輩出してきた。

カードを損せず、テンポを損せずに墓地を増やすこのカードが好かれないことがあるだろうか?いや無い。ギタ調は今までも渋面の溶岩術士の燃料、陰謀団の儀式のスレッショルド、紅蓮術士の昇天のカウンター達成、タルモゴイフの餌・・・・などなど様々な役割をこなしてきた。

そこに近年、さらに相性の良い強力なツールが追加された。

「グルマグのアンコウ」だ。

6B 探査 5/5

このシンプルでコモンのクリーチャーが、レガシーやモダン、パウパーに大きなインパクトを与えたのは周知のとおりだ。ギタ調はフェッチと併せて効率よく墓地を溜め、グルマグのアンコウが戦場に出るのを早めてくれる。1ドローとピーピングがついている睡蓮の花びらなんて最高じゃないか?

◎ソーサリーの比率を高める(デッキを圧縮する)。』

我々は、デッキのソーサリーやインスタントの割合を高めると嬉しがる友を知っている―そう、秘密を掘り下げるもの/Delver of Secret だ(人によっては宿敵かも知れないね)。1t目に飛び出した彼が独力で変身することは、すべてのデルバー使いが望む展開である。

しかし、彼の研究環境を整えるのと、カードの最適な配分を保つというのは、トレードオフの関係にある。変身する確率をできるだけ高めようとすれば、生物やPW、土地を減らすことになる。だがデルバーデッキがクロックパーミッションとしてライフを0にすることを目的にしている以上、スペル以外の脅威を一定数デッキに入れる必要がある。

このトレードオフをギタ調は破壊する。幽霊のようにデッキに存在するだけで、実質的に56枚のデッキにしてくれる。デルバーだけでなく、デッキの中の特定のキーカードをひくのが重要なコンボデッキでも有用だ。デッキを圧縮することはキーカードをひきやすくする。礼拝堂は強いのだ!

◎相手の手札を見る。』
相手の手札を見ることに確固とした価値を置くことは難しいが、多くのプレイヤーが過小評価している大きなアドバンテージが得られると“彼”は思っている。
相手の動きを読むコツを掴む前、彼は正確な良いプレイをするテクニックを磨こうとするプレイヤーだった。たぶんこれはMO出身ということから来ているか、あるいは単に内向的な性格のためかもしれない。しかしいずれにせよ、Gitaxian Probeが印刷され、それを全てのデッキに入れてから彼はそれまでよりも勝てるようになった。らしいよ。
ギタ調はフィットしないとみんなが思うだろうデッキ、青黒コントロールやCaw-Bladeにも彼はそれを入れてみた。すると、隠されていた情報が全て明らかになれば簡単に勝利への道筋を見つけられることに気づいた。
相手の手札を見る能力はとても強力で、それが生死を分かつマッチアップもある。一つの例ではあるが、Duressを撃って前方確認、何もないことを確かめてイージーウィンしたストームプレイヤーと、カウンター満載のハンドを見てさらなる妨害をじっと待つべきだと知ったストームプレイヤーの違いについて考えてみてほしい。

◎ドローを”保存”する。』

テンポを失わずにデッキトップ1枚と交換できる性質を持っているということは、疑似的に手札1枚分がデッキトップに動いているという見方もできる。

デッキトップを知らない普段は意識することは少ないが、ほかの1マナドローやフェッチランドと組み合わさることで、この性質は強みを発揮する。

思案を撃って1枚ドローしてフェッチを起動したストームプレイヤーと、思案を撃ったうえギタ調でドローしフェッチを起動したストームプレイヤーの例を考えてみてほしい(撃つべき順番の是非はまた別のお話)。

こういった点で見ればギタ調は師範の占い独楽のタップ能力と似た性質を持っているともいえる。

ANTが勝負所で貴重なマナを減らさずに、LEDのマナでデッキトップの呪文を唱えることができるのも、このドロー”保存”の性質のおかげである。

◎”スペルをキャストした回数”を増やす。』

スペルをキャストした回数・・・・・そう、ストームだ。

できるだけマナを節約してストームを稼ぎたいストームデッキにとってこれほど優秀な相棒はいない。炎の中の過去を撃てば0マナで2回分のストームを稼ぐ。

また、 “スペルをキャストする”とご褒美をくれる生物は多い。ギタ調はそれら生物の優秀なトリガーになる。僧院の速槍、窯の悪鬼、クォリーオンのドライアド・・・・その中でも特に相性が良いのが若き紅蓮術士だ。

-なぜ若き紅蓮術士はギタ調のベストな相棒なのか?-

少し話が逸れるが整理しておきたい。

→形あるアドバンテージに即変換する

他のご褒美はP/Tの変化が大半であるなかで、ヤンパイは独特の特徴を持っている。1/1トークンとしてその後も場に残るアドバンテージを生成するのだ。

他のご褒美であるP/T向上によるアドバンテージは、ライフに変換するにせよ、盤面に変換するにせよ、変換には必ずコンバットが介在する。コンバットを介することは不安定な要素を含むということだ。除去や盤面によっては、変換できないまま無駄になる場合がある。

その点1/1トークンは、無駄になりにくく確実なアドバンテージを積み上げてくれる。

さらにヤンパイは、着地から誘発までに除去で干渉することはできない。打消しでない限り対応できないのは、P/Tに関わらないアドバンテージの形態をとっているからであり、召喚酔いも関係ない。

着地即誘発させたい能力と、マナのかからないギタ調は最高の相棒と言っていい。

→トークンはライフに変換しやすいアドバンテージである

1/1トークンというアドバンテージは、種類として脅威よりもライフに近い。

エレメンタルトークンが対戦相手のアンコウのアタックをチャンプした場合を考えてみよう。2ペイライフして生成したので、差し引き3点のライフゲインになる。もちろん対戦相手と自分のライフの関係によっては、アタックに回っても良い。ライフに良く似ているアドバンテージに変換できるヤンパイは、ギタ調と相互補完の関係にある。

◎能動的にライフを減らす。』

デスシャドウデッキでは能動的にライフを調節できる手段として有用だった。死の影を探しながら準備を整えても良いし、勝負どころで0マナ+2/2修正として使っても良い。

◎青い。』

・・・・言いたいことはわかるね?

ギタ調が何をしてくれるか理解した今、次のステップは「効果的にキャストすべき方法」だ。目指すべきゴールが明確になっていない状況でギタ調をどう使うかについて、一般的な指針をいくつか示して今日の記事を締めくくろうと思う。

効果的なギタ調:いつキャストするか。

ギタ調のプレイングは1つの問いに帰着する――いつキャストするか。

テンポを阻害することなくいつでも撃てるこのカードは、逆に言えばキャストするタイミングが難しいということでもある。個人的には、一般に唱えるのが早すぎる場合が多いように感じている。唱えるべきタイミングを以下の3つに分けて考えてみよう。

- するべきアクションが無いとき

 これは簡単。ギタ調をなにかに変換しなければするべきことがないターンにはすぐにキャストすべきだ。序盤に置くべき土地が無いとき、終盤にギタ調をドローしたとき、などが当てはまる。さっさと変換して、とるべき行動をとろう。

- 明確なシナジー効果が得られるとき

 これも比較的分かりやすい。陰謀団式療法やヤンパイを一緒に持っている、あるいは引き込む可能性が高いなら、唱えるべきはシナジーが狙えるターンだ。

- 得られる情報の価値が最大のとき

1tだけマジックを完全情報ゲームにするカード、としてギタ調をとらえた場合だ。これは複雑でいろいろな状況が考えられる。攻める場合、守る場合、プランを立てる場合という切り口で場合分けしてみよう。

-1)攻めるための情報

あなたがLEDとリチュアルとチューターをハンドに揃えたANTプレイヤーなら、まさに今がギタ調を唱えるべきターンだ。私は勝てるのか?勝てないのか?という最強の情報をギタ調はもたらしてくれる。あなたがアンコウと死儀礼どちらを出すべきか迷っているグリクシスデルバーなら、相手が衰微を持っているか、四肢切断を持っているか知ることはかなり勝利に近づく情報になる。攻めるための短期的なプランの助けになるギタ調だ。

 -2)守るための情報

あなたがショーテルを相手にしていて狼狽の嵐を持っているグリクシスデルバーなら撃つべきターンは2ターン目になる。相手の準備の進み具合によって、クロックを加速するか決戦に備えるか決めよう。

-3)プランをたてるための情報

 1、2を短期的なプランのためのギタ調とするなら、こちらは長期的なプランのためのギタ調といえる。ギタ調はマッチアップの一般論ではなく相手のハンドから、最適なプレイを教えてくれる。最初のPonderで不毛の大地を取るべきか、稲妻を取るべきか。ギタ調を撃ったうえで思案すれば、答えは明確になるだろう。

まとめ

この入門記事が少しでもギタクシア派の調査を理解する役に立つことを願っている。このカードは信じられないほどパワフルなツールで、全てのトーナメントプレイヤーはいつ、どのように使うかを知っているべきだ。一方で、ギタ調には相当量のリスクもつきまとう。

まとめると:

*ギタ調はどんなデッキにも合うわけではない。

*マリガン判断を難しくさせる。

*ライフが重要なリソースになる相手やトップ勝負になりやすいゲームではサイドアウトしよう。

*デッキに入れる時は、副次的なアド変換先のうちどれに変換する目的なのか見極めよう。

*キャストするときはいつ、なぜキャストすべきか?という問に答えを持って唱えよう。

このTipsを心に留めればギタ調といろいろなフォーマットで()長く良い付き合いができるだろう。

なお、起動型能力である・生物であるという違いはあるものの、通りの悪霊も共通している部分は多い。参考にしてみてほしい。

コメント

みすたくる
2017年5月23日18:29

レイスはハンド見れないしキャスト誘発しないしFBできないしデッキを非常に選ぶのでは。

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